うなぎの現状

06 河川・沿岸環境の改善

ダムや堰、落差工などの河川構造物は治水・利水面では重要ですが、水生物の移動を妨げている場合があります。
ニホンウナギは、海から川を上って生息し、産卵のため再び海に戻る回遊魚です。そのため、河川構造物が川上りと川下りを邪魔したり、日中、身を潜める隠れ場所もなくしたりする可能性もあります。

対策として、落差の大きい構造物には魚道(ぎょどう)を確保し(図11)、コンクリート張りの川底には石倉カゴを設置したり(図12)、水際には植生するなどして、ニホンウナギの生息場所を確保する必要があります。現在、環境省のホームページで「ニホンウナギの生息地保全の考え方」という資料が配布されていますので、参照してみてください。


これからの河川工事は、治水・利水に加えて
環境も考えなければならない

図11 うなぎの川上りを助ける魚道
提供:株式会社フタバコーケン

 図12 うなぎの住処となる石倉カゴ
提供:株式会社フタバコーケン

また、国交省では、河川が本来有している生物の生息環境や多様な景観を保全・創出し、地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配慮し、治水・利水機能と環境機能を両立させた河川管理を行う「多自然川づくり」を平成18年から続けています。年々、コンクリート護岸による直線水路ではなく、水際の変化に富んだ河川構造にする例が増えています(図13)。

図13 多自然川づくりの例
左:水際部の変化を復元した事例 、右:瀬・淵を再生した事例
(国土交通省HPより)

07 うなぎ捕獲の法整備

現在、われわれが食するうなぎは、稚魚を含めて全て天然資源に頼っていることがお分かりいただけたでしょうか。産卵のために川を下る銀ウナギや川で育っている黄ウナギを捕獲して食べてしまうことは、資源の大きな損失につながっています。
なお、養殖で成魚に育てたうなぎを海に放しても、海を泳いで産卵場に向かうことはないと研究されています。

鹿児島県や宮崎県、愛知県など、うなぎ養殖の盛んな自治体や漁業組合では、採捕禁止の取組みを行っていますが、国の法律として規制項目にはなっていません。
ヨーロッパウナギは絶滅が危惧され、2009年にワシントン条約によって輸出入禁止になりました。ヨーロッパウナギは中国での養殖を経由して、その多くを日本で消費してきたのですから、日本人は無関係ではありません。

ニホンウナギもワシントン条約で規制される可能性がありますので、なるべく早く国内で天然うなぎの捕獲を規制する必要があると考えます。
そして、うなぎの完全養殖が実現し、うなぎの食文化を支える日が近く訪れることを期待しています。

<参考文献>
1) 塚本勝巳,『うなぎ 1億年の謎を追う』(2014),学研教育出版
2) 黒木真理・塚本勝巳,『旅するウナギ 1億年の時空をこえて』(2011),東海大学出版会
3) 東アジア鰻資源協議会日本支部編,『うな丼の未来 -ウナギの持続的利用は可能か-』(2013),青土社
4) 国立研究開発法人 水産研究・開発機構ホームページ,http://www.fra.affrc.go.jp/

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